少年事件と特殊詐欺(振り込め詐欺・オレオレ詐欺)

2021年1月6日

 弁護士になってから、少年事件も担当させていただいております。

 少年事件というと、「凶悪化」など悪いイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、弁護士として、弁護人・付添人活動を通じて少年の更生に少しでも助力できるよう意識しています。

 今回は、少年事件と特殊詐欺についてです。

 

特殊詐欺(振り込め詐欺・オレオレ詐欺など)  

「特殊詐欺」というのは、いわゆる振り込め詐欺・オレオレ詐欺など、不特定多数の方を狙う類型の詐欺です。

 警視庁のHPでは、詐欺犯人が電話やハガキ(封書)等で親族や公共機関の職員等を名乗って被害者を信じ込ませ、現金やキャッシュカードをだまし取ったり、医療費の還付金が受け取れるなどと言ってATMを操作させ、犯人の口座に送金させる犯罪(現金等を脅し取る恐喝や隙を見てキャッシュカード等をすり替えて盗み取る詐欺盗(窃盗)を含む。)というように定義されています。

 警察や金融機関等が、何年にもわたって被害防止のための注意等を呼び掛けていますが、なかなか被害者が後を絶たない犯罪類型ですね。 私も、少年事件として、これまでも何度も特殊詐欺に関与した少年を担当してきました。 

 

特殊詐欺への少年の参加・関与

 特殊詐欺の特徴として、組織化・分業化が進んでいることが挙げられます。犯行自体を計画・立案する者のほか、被害者に電話をかけて欺罔行為を行う「架け子」、被害者から金銭を受け取る「受け子」、ATMから現金を引き出す「出し子」、受け子や出し子となる人員を紹介・手配する「リクルーター」、受け子や出し子に指示を行う「指示役」、その他、犯行に使用する携帯電話や銀行口座を手配する「道具屋」など、各種の役割を担う多数の人物で構成されることが一般的です。

 なお、それぞれの参加者は、他の参加者とは面識もなく、顔や氏名といった個人情報などは全く把握していないことが通常です。  そして、少年の場合、「受け子」や「出し子」として犯行に参加するケースが多いです。

 「受け子」は、被害者と直接接触するため、被害者の目の前に姿をさらすというリスクがありますし、また詐欺が事前に露見していた場合は警察官に現場で逮捕されるというリスクがあります。また、「出し子」は、ATM等の防犯カメラに姿を録画されるというリスクがあります。

 このように、少年は、犯行全体の中で、一番高いリスクを伴う「受け子」や「出し子」の役割を担当しているケースが多いです。 また、少年に対して、分け前や報酬の約束等がなされていることが多いですが、実際には支払われなかったり、報酬が支払われても実際の被害金額との対比でいえば少額であることが殆どであり、被害金額の大部分は顔も名前も把握していない「上の人」「黒幕」にわたっているというのが実態です。 もちろん、特殊詐欺に関与した少年は非難されるべきです。ただ、計画者や黒幕が、少年の思慮の浅はかさや未熟さに乗じて、安い報酬でリスクの高い役割を押し付け、良い様に利用して使い捨てにするケースが多く、いわば少年が搾取されているようにも感じます。

 

重い処分

 少年が、「受け子」や「出し子」として特殊詐欺に関与した場合ですが、特殊詐欺被害が日本全体で莫大な金額に上っており社会問題化しているという背景もあり、少年審判でも、重い処分を受けることが多いです。もちろん、少年審判の結論は、被害額の大小、役割や関与の程度、過去の非行歴の有無や程度、生育環境や家庭環境、被害弁償の有無、反省の有無、就業先・勤務先の確保の有無などの総合判断によって処分が決まるわけですが、やはり、率直にいって、「少年院送致」という処遇になるケースは多いです。  以上、少年事件と特殊詐欺についてでした。

 

 昨今は、知人から誘われるだけではなく、SNSなどで見知らぬ相手から「受け子」や「出し子」の勧誘を受け、それこそアルバイト感覚で引き受けてしまうという少年も見受けられます。しかし、その先には、とてつもない重大なリスク・不利益が待ち受けているという実態について、未成年者にも、もっと浸透してほしいところです。

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