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  • 2023.10.01

6 企業側の労働問題 割増賃金請求に対する対応 固定残業代の問題点

<6 割増賃金請求に対する対応 固定残業代の問題点>

 プロシード法律事務所代表弁護士の佐藤竜一と申します。本事務所では週一回所内で企業側からみた労働問題について所属弁護士間で研究会を実施しています。本ブログでは当該研究会での議論を踏まえ、企業側の視点からみた労働問題について、随時情報を発信しています。今回は、労働者から割増賃金請求をされて訴訟になった場合に、固定残業代制度を定めていた場合の課題についてお話しします。

 貴社が就業規則等で固定残業代制度を定めている場合であっても、裁判になった場合、その部分が割増賃金の弁済済み認定されるとは限りません。後に述べるような諸点に留意して固定残業代制度を整備していないと、裁判ではその制度が否定されることがあります。固定残業代制度が否定されると、使用者が残業代の意図で支払った固定残業代が割増賃金ではないと否定され(つまり、その部分の割増賃金は未払いとなる)、さらに固定残業代部分の支払いが割増賃金請求の基礎賃金に算入されて計算され、より高い割増賃金を支払わなければならなくなります。固定残業代制度については、この点のリスクがあることを認識して導入する必要があります。

 では、どのような点に留意して固定残業代制度を導入する必要があるでしょうか。
 まず第一に基本給と明確に区別されているか否かが必要となります。何時間分なのか、その時間単価も決めて就業規則等に明示されていることが望ましいと考えます。労働者に明示されていることも必要ですので、明確に区分した固定残業代制度であることを労働者に明示したことも証拠化しておくことが必要と考えます。

 固定残業代を超える残業をした場合に、精算を実際行っているかも裁判では論点になることが多いです。固定残業代を超える残業をした場合でも、実際には生産をしていないケースは多いと思われますが、リスクになりえることは認識する必要があります。
 また実質的に時間外労働の対価としての性格を有しているのかという観点も問題になります。例えば、賃金規定で「営業手当が月30時間分の時間外労働割増賃金である」と規定されていたケースでは、固定残業代性を否定された裁判例があります。
 固定残業代制度を導入されている企業におかれては、就業規則等が実質的に時間外労働の対価としの規定になっているかについて、確認されることをお勧めします。

 貴社において固定残業代制度を導入されていてそのリスク等を判定したいという場合は気軽にご相談ください。

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