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  • 2023.10.01

9 企業側の労働問題 就業規則変更による労働条件の不利益変更の視点

<9 就業規則変更による労働条件の不利益変更の視点>

 プロシード法律事務所代表弁護士の佐藤竜一と申します。本事務所では週一回所内で企業側からみた労働問題について所属弁護士間で研究会を実施しています。本ブログでは当該研究会での議論を踏まえ、企業側の視点からみた労働問題について、随時情報を発信しています。今回は、使用者が就業規則を変更することによって賃金、退職金等を労働者に不利益に変更する場合の留意点についてお話しします。

 労働者との個別的合意がなくとも就業規則を変更することによって一定の労働条件を労働者に不利益に変更することも可能ですが、以下の要件が必要となります(労働契約法10条本文)。

①労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであること
②変更後の就業規則の労働者への周知
 特に賃金、退職金等の労働者にとって重要な権利に関しては、裁判実務においては高度の重要性が必要とされています。合理性が肯定された裁判例としては、会社経営が2億円を超える債務超過になっていた場合に基本給部分を平均して約8.1%減額した事案について合理性を肯定した事例(東京高判平26.2.26労判1098号46頁)があります。
 合理性が否定された事例としては、病院職員の給与制度を成果主義型に変更した事案(東京高判平22.10.19労判1014号5頁)や、原告らの賃金が年間で100万円前後減額された事案(京都地判平26.11.27労判1124号85頁)などがあります。
 労働条件の不利益変更は、その他「定年の引下げ」「契約更新の最終年齢の引下げ」「降格規定の新設」「所定休日の減少」「私傷病休職からの復職条件の厳格化」等の場面で問題になりえます。
使用者側としては、不利益変更を行うにあたっては、後に争われた場合のリスクを予め検討しておく必要があると思われます。

 貴社において就業規則変更による労働条件の不利益変更を検討しておられる場合で、リスクを懸念されている場合は気軽にご相談ください。

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