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  • 2022.05.16

独占禁止法について〔その20〕

独占禁止法について〔その20〕

 

今回は、前回に続いて、独占禁止法の適用除外について、ご説明いたします。

 

Ⅳ 知的財産権と独占禁止法

  1. 序説

ここでは、知的財産権と独占禁止法との関係について検討します。

知的財産権とは、人の精神的活動の所産としての創作と営業上の信用に対する支配権を意味します。知的財産権の保護や利用について規定した法が知的財産法です。

知的財産法は、知的財産権者に対し、当該知的財産を独占的に利用する権利を認めます。

このように、独占的な利用権が認められた知的財産については、権利者以外の者は、権利者の許諾を得ずに、当該知的財産を利用することができなくなります。そして、このことは、権利者以外の者は、権利者の許諾を得ない限り、当該知的財産を利用して事業活動を行うことにより権利者と競争を行うことができなくなることを意味します。

さて以上のことを前提とすると、知的財産の独占的な利用を認めその限りで競争を排除することとなる知的財産権と、公正かつ自由な競争の促進をその目的とし独占的行為を排除しようとする独占禁止法とは、矛盾する側面を持つようにみえます。そこで、両者がどのような関係にあるのかが問題となります。

独占禁止法には、その21条に「この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」という条文が置かれています。これは、独占禁止法の適用除外制度の一つとして設けられた規定です。

上記の知的財産権と独占禁止法との関係に係る問題について理解するためには、この規定をどのように解釈するかを検討することが必要です。

 

  1. 知的財産権と独占禁止法との関係に関する通説及び実務の運用

知的財産権と独占禁止法との関係については、独占禁止法21条の規定の文言が簡潔なこともあり、多様な解釈が提唱されていますが、以下においては、そのうちの通説と実務の運用について紹介します。

 

(1) 通説――再構成された権利範囲論

近年、独占禁止法21条の解釈については、再構成された権利範囲論と呼ばれる見解が通説となっています。これは次のような見解です。

(a) 同法21条にいう「権利の行使」とみられる行為は、その行為に従わないことが知的財産権の侵害を構成することになる当該行為を意味しており、具体的には、(ⅰ)ライセンス(知的財産の実施の許諾)なしに保護対象の知的財産を実施・利用する行為を排除するために必要な範囲の行為、及び、(ⅱ)ライセンスに付された制限に違反することが知的財産権侵害を構成することとなる場合において当該制限を遵守させるために必要な範囲の行為を意味している。これに該当しない行為は「権利の行使」とみられない行為であり、独占禁止法が適用される。

(b) 「権利の行使」とみられる行為であっても、知的財産権保護制度の趣旨・目的に照らして「権利の行使と認められる行為」(同法21条)か否かを評価し、「権利の行使と認められる行為」であると評価される場合には独占禁止法の適用除外となるが、知的財産権保護制度の趣旨を逸脱し又はその目的に反し「権利の行使と認められる行為」とは評価されない場合には独占禁止法が適用されることとなる。

すなわち、この見解によれば、知的財産権の行使に係る行為が独占禁止法の適用除外となるか否かについては、(ⅰ)それが「権利の行使」とみられる行為かどうか、(ⅱ)「権利の行使」とみられる行為であっても、更にそれが「権利の行使と認められる行為」かどうか、という2段階の判断が必要となります。そして、(ⅰ)の判断は、権利侵害を排除するために必要な範囲の行為か否かという外形的、形式的判断であり、(ⅱ)の判断は、知的財産権保護制度の趣旨・目的に違背するか否かという実質的判断であることとなります。この見解は、このような2段階の絞りをかけることによって、独占禁止法21条により適用除外となる行為を限定することを意図したものと見受けられます。

 

(2) 実務の運用

この再構成された権利範囲論は、公取委の運用にも取入れられていると解されています。すなわち、公取委はガイドラインで、独占禁止法21条に関する考え方を述べている[1]ところ、この公取委の考え方は、再構成された権利範囲論と実質的に同趣旨と考えられます[2]

より詳細な公取委の考え方は、ガイドラインと審決例によって比較的明瞭に知ることができます。

このような考え方を踏まえた公取委の運用は、一言にして言えば、〈知的財産権の行使であっても、独占禁止法に違反する行為は適用除外とはならない〉というものです。

判例において知的財産権と独占禁止法との関係について一般的な考え方が示されたものは、最高裁判決の中には、これまでに見当たりません。しかしながら、下級審の判例の中には、再構成された権利範囲論と同旨の立場に立つとみられるものがあります[3]

 

  1. 知的財産権の行使に関する判審決例

知的財産権の行使に関する主な判審決例には、次のようなものがあります。

(1) 私的独占に係るもの

勧告審決平成10年3月31日審決集44巻362頁(パラマウントベッド事件)は、実用新案権等の工業所有権が関係する入札に関する事件ですが、その概要は前述しました(「独占禁止法について〔その4〕」4.)。

勧告審決平成9年8月6日審決集44巻238頁(ぱちんこ機製造パテントプール事件)は、特許権等に係るパテントプールに関して新規参入事業者の事業活動を排除した事件ですが、その概要は前述しました(「独占禁止法について〔その4〕」4.)。

東京高判平成15年6月4日判例集未登載(平成14年(ネ)第4085号)(パチスロ機製造パテントプール事件)は、上掲のぱちんこ機製造パテントプール事件とは反対に、パテントプールの運用を独占禁止法に違反しないものとした事例です。パチスロ機製造業界においては、パチスロ機に関する特許権等の知的財産権につき、これを保有する者から再実施許諾権付きで実施許諾を得て、パチスロ機製造業者に対して有償で再実施許諾をして、その実施料を特許権者等に還元するパテントプールを形成しているところ、本件は、保有する特許権等について当該パテントプールに再実施許諾権付きの実施許諾をしているパチプロ機製造業者アルゼ株式会社が、同業のサミー株式会社に対して、自己の特許権の侵害を理由に損害賠償を請求しました。

サミーが当該特許について上記パテントプールから再実施許諾を得ていると主張したのに対し、アルゼは、本件パテントプールは、(a)新規参入の阻止を目的としていること、(b)その現実の運用も新規参入を排除するものとなっており、本件パテントプール参加者のパチスロ機の販売シェアはほぼ100%であったこと、等から独占禁止法に違反するものであるため、アルゼとパテントプールとの間の実施契約は、その更新の拒絶不可の例外として契約条項上規定された「契約を継続し難い特段の事由」があるものであって、サミーがアルゼの特許権を使用してパチスロ機を製造・販売した時点においては、既に終了していると主張しました。

東京高裁は、独占禁止法21条の解釈について、再構成された権利範囲論と同趣旨の一般論を述べた上、本件パテントプールの運用は、特許法等の技術保護制度の趣旨を逸脱するものではなく、特許権等の行使と認められる範囲にとどまるものであって、独占禁止法に違反しないものと判示しました。

これは、(ⅰ)本件パテントプール設立の目的がメーカー間の特許権等を巡る紛争を防止することにあり、新規参入の阻止が目的ではなかったこと、(ⅱ)パチスロ機の特許権等の権利者が本件パテントプールに管理委託する特許権は、その保有する特許権の全部ではなく一部が留保されることがあったことや、パチスロ機に関する特許権等は、本件パテントプールに参加している企業だけが保有しているものではなく、ぱちんこ機製造業界の大手企業等も保有していたことから、本件パテントプールが、現在及び将来において、パチスロ機の製造に不可欠な特許権等を網羅する仕組みではなかったこと、(ⅲ)本件パテントプールへの新規参加は容易に認められない実情があったが、これには、パチスロ機業界が他の業界との競争が激しく安定的な経営を確保することが困難な状況の下で、業者が不正機の製造・販売に走るおそれがあることから、そのような業者を排除するため、基本的な製造設備の具備や技術開発体制の確立の他に、過去に風俗営業法違反の行為のないことなど経営内容等の審査を慎重にしたという側面があったこと、(ⅳ)本件パテントプールにおいて、再実施許諾の対象者が限定列挙されていることについては、元来、特許権等の実施権を誰に付与するかは権利者の自由に属する事柄であり、再実施権を無制限に認めれば無秩序な価格競争が生じることも予想されるから、上記の限定は特許権等の権利の行使として当然認められるべきであること、(ⅴ)本件パテントプールが、その構成員に対し、製品等の販売価格、製造数量、販売数量、販売先等の制限や新規参入の阻止を行った事実はなかったこと、などの事情を考慮したものです[4]

最判平成27年4月28日民集69巻3号518頁(平成26年(行ヒ)第75号)(日本音楽著作権協会事件))は、以下のとおり、かなり複雑な経緯をたどって、決着をみました。

本件は、著作権者から音楽著作権の管理を受託した楽曲の利用を放送事業者等に許諾し、使用料を徴収して著作権者に分配する事業を営む一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の行為が排除型私的独占に該当するかが問題となった事件です。

JASRACは、管理する楽曲全体について放送事業者に対し包括的に利用を許諾し、放送等使用料を包括的に算定し徴収する方法を採用しているところ、この算定に当たっては、当該放送事業者が利用した音楽著作物の総数に占めるJASRACの管理楽曲の割合を反映させていない(当該放送事業者の放送事業収入に一定率を乗ずる等の方法で算定している)ことから、当該放送事業者が他の管理事業者にも使用料を支払うと負担する使用料総額はその分だけ増加することとなります。

これについて、排除措置命令平成21年2月27日審決集55巻712頁は、JASRACによる上記のような使用料徴収制度を内容とする契約の締結・実施により、他の管理事業者は自らの放送等利用に係る管理楽曲が放送事業者の放送番組においてほとんど利用されず、また、放送等利用に係る管理楽曲として放送等利用が見込まれる音楽著作物をほとんど確保することができないことから、放送等利用に係る管理事業を営むことが困難な状態になっているものとし、これは他の管理事業者の事業活動を排除したものであり私的独占に該当するとしました。

JASRACは本件命令を不服として審判請求をしました。

公取委は、審判手続を経て、本件命令を取消す旨の審決をしました(排除措置命令取消審決平成24年6月12日審決集59巻第1分冊59頁)。本件審決は、本件行為が他の管理事業者の事業活動を排除する効果を有することを認めるに足りる証拠はないものとし、その余の点について判断するまでもなく、本件行為が排除型私的独占に該当するということはできないとしました。

この審決に対し、JASRAC以外で、使用料を徴収して放送等利用に係る管理事業を行っている唯一の事業者である株式会社イーライセンスが公取委を相手取って、本件審決の取消しを求める訴えを提起しました。この訴訟には、JASRACが行政事件訴訟法22条1項に基づいて参加しました。

東京高判平成25年11月1日(平成24年(行ケ)第8号)最高裁HP裁判例情報は、参加人JASRACの本件行為について、放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野において、原告イーライセンスの事業活動の継続や新規参入を著しく困難にしたと認められ、本件行為は、放送等利用に係る管理楽曲の利用許諾分野における他の管理事業者の事業活動を排除する効果を有する行為であると認められると判示し、本件審決を取消しました。

上記最判平成27年4月28日は、上告を棄却しました。本件判決は、独占禁止法2条5項の「他の事業者の事業活動を排除」への該当性について、NTT東日本事件(最判平成22年12月17日民集64巻8号2067頁。「独占禁止法について〔その4〕」4.)を引用して、当該行為が「自らの市場支配力の形成、維持ないし強化という観点からみて正常な競争手段の範囲を逸脱するような人為性を有するものであり、他の管理事業者の本件市場への参入を著しく困難にするなどの効果を有するものといえるか否かによって決すべきものである。」と判示した上、「本件行為が上記の効果を有するものといえるか否かについては、本件市場を含む音楽著作権管理事業に係る市場の状況、参加人及び他の管理事業者の上記市場における地位及び競争条件の差異、放送利用における音楽著作物の特性、本件行為の態様や継続期間等の諸要素を総合的に考慮して判断されるべきものと解される。」と述べました。

そして、本件行為について、「他の管理事業者の本件市場への参入を著しく困難にするなどの効果を有するもの」であることを認めるとともに、「別異に解すべき特段の事情のない限り、自らの市場支配力の形成、維持ないし強化という観点からみて正常な競争手段の範囲を逸脱するような人為性を有するものと解するのが相当である。」と判示しました。

更にこれに続けて、「したがって、本件審決の取消し後の審判においては、独占禁止法2条5項にいう「他の事業者の事業活動を排除」することという要件の該当性につき上記特段の事情の有無を検討の上、上記要件の該当性が認められる場合には、本件行為が同項にいう「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」ものに該当するか否かなど、同項の他の要件の該当性が審理の対象になるものと解される。」と判示しました。

本件最高裁判決により、上記公取委審決は取り消されたため、公取委は、平成27年6月12日、改めて本件審判請求に関する審判手続を再開しました(平成25年改正前の独占禁止法82条2項)。その後、平成28年9月9日、被審人JASRACから、審判請求の取下げ(同法52条4項)があったため、原処分である本件排除措置命令が確定しました(同条5項)。

 

(2) 不当な取引制限に係るもの

審判審決平成5年9月10日審決集40巻3頁(公共下水道用鉄蓋福岡市事件)は、福岡地区において公共下水道用鉄蓋(マンホール)の全量を供給する事業者である日之出水道機器株式会社等7社が、福岡市の調達に係るマンホールについて、日之出水道機器の実用新案を取り入れた仕様が当該実用新案を他の6社にもライセンスすることを条件に採用されたところ、このライセンス契約に関連して共同して福岡地区におけるマンホールの販売価格、販売数量比率及び販売先を決定したことが不当な取引制限に該当するものとしました。審判審決平成5年9月10日審決集40巻29頁(公共下水道用鉄蓋北九州市事件)も、これと類似の内容の北九州地区における事件です。

 

(3) 不公正な取引方法に係るもの

勧告審決平成10年12月14日審決集45巻153頁(マイクロソフト事件)は、前述(「独占禁止法について〔その11〕」6.(3)(ア)(a))したように、パソコンの応用ソフトの抱き合わせ販売(昭和57年一般指定10項(現平成21年一般指定10項))が認められた事案です。

審判審決平成13年8月1日審決集48巻3頁(ソニー・コンピュータエンタテインメント事件)の事案の内容は前述(「独占禁止法について〔その12〕」7.(3)(a))しました。本件においては、再販売価格拘束行為に包含される行為として中古ソフトの取扱い禁止行為が認定されたのですが、被審人が中古ソフトの取扱い禁止について、ゲームソフトには映画の著作物として頒布権(著作権法26条1項・2条1項19号)が認められるから、頒布権を侵害する中古ソフトの取扱いを禁止することは著作権の行使と認められる行為であり独占禁止法21条により適用除外となると主張したのに対して、審決は、上記の中古ソフト取扱い禁止行為が再販売価格の拘束行為と一体として行われ、同行為を補強するものとして機能しており、中古ソフト取扱い禁止行為を含む全体としての再販売価格の拘束行為が公正競争阻害性を有するものである以上、仮に中古ソフト取扱い禁止行為が「外形上頒布権の行使とみられる行為に当たるとしても、知的財産保護制度の趣旨を逸脱し、あるいは同制度の目的に反するものであることはいうまでもない」として、適用除外となることを否定しました。

著作権の利用許諾に関する共同の取引拒絶(昭和57年一般指定1項1号(現2条9項1号イ))が認められた東京高判平成22年1月29日審決集56巻第2分冊498頁(「着うた」事件)については前述しました(「独占禁止法について〔その9〕」4.(2)(ウ))。

審判審決平成20年9月16日審決集55巻380頁(マイクロソフトコーポレーション事件)は、米国マイクロソフトコーポレーション(マイクロソフト社)が、パソコンメーカーにパソコン用基本ソフト「ウィンドウズ」のライセンスをするに当たり、ライセンシーの特許がウィンドウズによって侵害されたとしても、マイクロソフト社、他のライセンシー等に対して、ライセンシーは特許侵害を理由に訴訟を提起しない旨の規定(非係争条項)を含む契約書を締結し、パソコンメーカーと取引していることについて、拘束条件付取引(昭和57年一般指定13項(現平成21年一般指定12項))に該当するものとしました。

審判審決平成21年2月16日審決集55巻500頁(第一興商事件)は、著作権の行使とみられる行為についての独占禁止法21条による適用除外の可否が争点の一つとなった事件です。業務用カラオケ機器の販売・賃貸やカラオケソフトの制作配信の事業を営む株式会社第一興商(以下「被審人」)は、同業の通信カラオケ事業者である株式会社エクシングから、カラオケソフトの歌詞の色変えに関する特許を侵害しているとして争訟を提起されたことに対する意趣返しとして、自社の子会社であるレコード制作会社2社をして、2社の管理楽曲(レコード制作会社が作詞者又は作曲者からその作品を録音等する権利を独占的に付与された歌詞・楽曲)の使用をエクシングに対して承諾しないようさせるとともに、このような不承諾をさせる旨等を通信カラオケ機器の卸売業者等に告知していました。

本件審決は、被審人の本件行為は、エクシングとその取引の相手方(通信カラオケ機器の卸売業者等)との取引を不当に妨害していたものとして、取引妨害(昭和57年一般指定15項(現平成21年一般指定14項))に該当するものとしました(但し、審決は、本件違反行為は既になくなっており、また、被審人が同様の行為を再び行うおそれがあるとは認められないとして、格別の措置を命じませんでした)。

本件においては、レコード制作会社がその管理楽曲の通信カラオケ機器における使用を通信カラオケ事業者に承諾するか否かを決定することが著作権法による権利の行使に該当するか否かについて当事者間に争いがあったところ、審決は、当該決定が著作権法による権利の行使に該当するとした場合においても、被審人は、エクシングの事業活動を徹底的に攻撃していくという方針の下、レコード制作会社2社をして、それまで平穏かつ継続的に行われてきた管理楽曲使用承諾契約の更新を突如拒絶させたものであり、また、エクシングの通信カラオケ機器の取引に影響を与えるおそれがあったものであるから、上記の更新拒絶は、知的財産権制度の趣旨・目的に反しており、著作権法による権利の行使と認められる行為とはいえないとして、独占禁止法21条により同法の適用除外となることを否定しました。

 

 

[1] 「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」(平成19年9月28日。「知的財産ガイドライン」)第2‐1)に述べられた考え方は次のようなものです。(a)独占禁止法第21条は、「この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」と規定している。したがって、技術の利用に係る制限行為のうち、そもそも権利の行使とはみられない行為には独占禁止法が適用される。(b)また、技術に権利を有する者が、他の者にその技術を利用させないようにする行為及び利用できる範囲を限定する行為は、外形上、権利の行使とみられるが、これらの行為についても、実質的に権利の行使とは評価できない場合は、同じく独占禁止法の規定が適用される。すなわち、これら権利の行使とみられる行為であっても、行為の目的、態様、競争に与える影響の大きさも勘案した上で、事業者に創意工夫を発揮させ、技術の活用を図るという、知的財産制度の趣旨を逸脱し、又は同制度の目的に反すると認められる場合は、上記第21条に規定される「権利の行使と認められる行為」とは評価できず、独占禁止法が適用される。

[2] 具体的な独占禁止法違反事件について、公取委は、当然のことながら上記の見解に基づいて処理を行っています。例えば、審判審決平成13年8月1日審決集48巻3頁(ソニー・コンピュータエンタテインメント事件)においては、中古のゲームソフトの取扱いを禁止することが映画の著作物の頒布権(著作権法26条1項・2条1項19号)の行使と認められる行為として独占禁止法21条により同法の適用除外となるかどうかが争点の一つとなりましたが、審決は、上記の中古ソフト取扱い禁止行為が再販売価格の拘束行為と一体として行われ、同行為を補強するものとして機能しており、中古ソフト取扱い禁止行為を含む全体としての再販売価格の拘束行為が公正競争阻害性を有するものである以上、仮に中古ソフト取扱い禁止行為が「外形上頒布権の行使とみられる行為に当たるとしても、知的財産保護制度の趣旨を逸脱し、あるいは同制度の目的に反するものであることはいうまでもない」として、適用除外となることを否定しました。

[3] 例えば、東京高判平成15年6月4日判例集未登載(平成14年(ネ)第4085号)(パチスロ機製造パテントプール事件。3.に後掲)においては、パテントプールそれ自体は、特許権等の行使に該当するものであるから、独占禁止法21条により原則として同法の適用を受けないものであるが、「当該パテントプールの運用の方針、現実の運用が、特許法等の技術保護制度の趣旨を逸脱し、又は同制度の目的に反すると認められる場合には、特許法等による権利の行使と認められる行為に該当せず、独禁法違反の問題が生ずることがある」ものと判示した。

[4] 本件については、再実施許諾の対象者の限定について特許権等の権利の行使として当然認められるべきであるとしていること等において判旨には疑問の余地もあります。学説上も、「判旨には疑問がある」とし、本件事案について、不当な取引制限、私的独占、共同の取引拒絶、取引妨害への該当性を示唆する見解があります。

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